+ + + シャカ誕 + + +

+ + この世に於ける幸福の全て + +

「シャカ!あのねぇ、これ!ムウ様が、持って行けって!」
「何だね?これは。」
騒がしい訪問者から、小箱を受け取り、シャカは尋ねた。
「誕生日のケーキだよぅ!全くもう、ムウ様が言ったとおりだ!」
「なんと言っていたのだ?キミの師は。」
「シャカは、自分の誕生日だって、すっかり忘れてるんだから、教えてあげなさいって!ほら!見てよ!足下にもいっぱいプレゼント置いてあるじゃないか!!」
少年の言葉に、辺りを見直すと、そこかしこに、リボンと色とりどりの紙で包装された物が、転がっている。
「おや?」
「なぁんだぁ!シャカってば、気付かなかったの〜?!!あっ!分かったぁ!シャカ、また寝てたんでしょう!」
屈託無く笑う少年に、そんなわけはなかろうと言い放った。
だが彼は、最も神に近い男の言葉を、全く信用していない様子で、ケラケラと笑いながら手を振り、祝福の言葉を残すと、白亜の宮を走り抜けて行ってしまった。

「そういえば、人の出入りが激しかった様な気がするが。」
シャカは思い出すように、首をかしげた。
「・・・供物だとばかり思っていたが。」
手近なひとつを取り、シャカは包みを解きながら、ムウの弟子が持参した、ケーキの箱を見遣る。
「全く。私が、甘い物は苦手だと、分かっていながらよこすかね?」
そこにムウがいるかのように、悪態をつく。
「うむ!プレゼントと言えば、こうであろう?」
シャカの手には、掌サイズの釈迦如来像が鎮座していた。しかし。
「むっ?!!こ、これはっ!!」
次の瞬間、シャカの眉間には深い溝が出来ていた。
「御仏の頭に穴を開けるとは!赦し難い!!」
金色に塗られた仏像の後頭部には、細長い穴が空いていた。貯金箱だったのである。しかも底には穴はない。つまり、貯まった小銭は、割って取り出すタイプだったのだ。
怒りに震える指先で、それでも仏像の形のそれを、ぞんざいに扱うわけにはいかず、そっと床に置き、シャカは、次々とプレゼントを開封していく。
「なんだ、これは?何に使うというのだ??」
それは、蓮の花を模った、キーホルダーであった。確かに造詣は繊細で美しい物ではあったのだが。哀しいかな。処女宮に鍵のある場所など、存在しなかった。シャカは、ポイと冷酷非情に、その辺に放り投げた。
開ける途中で、強烈な薔薇の香りに、棄権した箱もあった。開けずとも贈り主は判明している。
大きな箱から、ズルズルと出てきたのは、テーブルクロスだ。そんなものを、シャカが使うわけがない。
2個セットのワイングラス。ワインはどこだ?
およそ日常というものと、かけ離れた生活を送っているシャカには、どれもこれも、無用の長物といったところである。

「ふぅ;」
周囲を見事にゴミに囲まれ、シャカは嘆息した。惨状を見回し、最初の箱に目がいった。
ケーキ。苦手な物にも関らず、とたんに、空腹感を覚える。それは、朝から何も食べずに、座禅を組んでいた今のシャカに、最も有用な物だった。
シャカはケーキに向かって、合掌すると、
「食べてやってもよい。」
と、ひとりごち、ひとかけらを口にした。シャカは、首を捻り、もう一口食べる。ケーキにしては、甘くない。結局、苦手なはずのケーキを、シャカは平らげてしまった。
「悪くない。」
食べ終わった箱には、一枚の紙切れが入っていた。
“お誕生日おめでとうございます。貴方の食事も用意してあります。白羊宮まで食べにいらっしゃい。いつでも。”
カードを読んだシャカは、すっくと立ち上がった。行き先は決まっている。
―――白羊宮。
「瞑想、お疲れ様。」
片手で椅子を引き、シャカの居場所を示しながら、ムウが微笑んで出迎える。テーブルの上には、美味しそうな料理が、たくさん並んで、シャカの腹に納まるのを待っている。
「弟子と師匠はどうした?」
「シオンは、教皇宮に缶詰にされてます。貴鬼は、貴方の宮へ行かせましたよ。途中で会いませんでしたか?」
「いや。会わなかった。しかし、何故、私の宮へ?」
「どうせ貴方、せっかくのプレゼントをゴミのように散らかしているのでしょう?先に食事をさせて、片付けに行かせました。それから、シオンに夜食を届けるようにと。全く、あの子は、どこで道草くってるんでしょうねぇ。」
どうやら、何もかも、見透かされているらしい。
「おや、いい物を持ってますね。」
シャカの手にした物を目聡く見つけ、ムウが手を伸ばす。シャカが持っていたのは、さきほど、誰だったかのプレゼントとして貰ったばかりの、ワイングラスだった。
「キミのところなら、ワインくらいあるだろう。」
「勿論。ひとつは、私が使っても?」
シャカが頷くと、ムウはありがとうと礼を述べた。
「ところで、これの件なのだが。」
シャカが出したのは、貴鬼が持ってきたケーキの箱の底にあった、カードである。
「なにか?」
「いつでも、とは、どういう事かね?」
「言葉通りですよ。貴方がいらっしゃるのを、お待ちしてます。誕生日じゃなくても、いつでもです。たまには、貴方の宮まで出張しても、よろしいですよ。」
「・・・いいのかね?」
問い掛けたシャカに、笑顔を見せ。
「私が貴方に出来る事であれば、何でもして差し上げたいと思いますよ。」
「何でも?」
言いながら、腕を捕られ、瞳を覗かれた。いつの間にか開かれた、深い湖水の蒼に魅入られたまま、ムウは頷いた。
「えぇ。私で、よろしければ。」
言葉にしなくても、触れた者から感情は容易に伝わる。それを知っているシャカは、あえて無言を選択した。
“キミ以外に誰に出来る?こんなに幸せを感じさせてくれるのは。”
そう。いつでも、私の欲しいものをキミはくれる。
シャカはめったに見せない笑顔になる。
「お誕生日、おめでとうございます。シャカ。」
ほんの些細な、そして、とても大切なもの。
それは、いつでも、すぐそばにある。
それこそが・・・・。

「あぁ、ムウ、そう言えば。私は自分の誕生日など、確かに気にもとめないが。・・・キミの誕生日は覚えているぞ。」
そして私はキミに、少しでもかえせるだろうか?
この世に於ける幸福の全てを。



=END=

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□都合のイイ、作者のいい訳;□





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