+ + + 沙織 + + +


+ + オレンジキス + +

「瞬のお誕生会を開くの♪」
フリルのついたエプロンをして、ボールと泡立て器を手にしたお嬢様は、白羊宮に来ていた。
「ムウはケーキも作れるわよねvv」
「えぇ、作れますが・・・失礼ですが沙織さん、卵を割った事はありますか?」
「いいえ!初めてなのっvv楽しみだわぁ〜vvv」
無くて当然っ!と言う様に、力いっぱい否定する沙織に、ムウは内心、既に倒れかけていた。
「・・・簡単なのにしましょう。オレンジココットなんか如何です?小一時間もあれば、作れますよ。」
そう言いながら、ムウは“普通はね・・・。”と心の中で付け加えた。

が、案の定・・・。

「ムウ!これ、上手く割れないわぁ!」
潰れた卵にまみれた自分の手を、沙織は気持ち悪そうに見た。
目の前には卵の殻が、いくつも散乱している。
「卵を打ち付ける時に、目を閉じてはダメですよ。」
「だって、見ていると、なんだか痛そうなんですもの〜。」
沙織の答えに、微かな目眩を覚えつつ、ムウは何度目かの手本を見せた。
コンコンッ!と小気味良い音を立てた卵が、次の瞬間には綺麗に二つに分かれる。
「上手ねぇ〜vv」
パチパチと無邪気に手を叩く沙織に卵を持たせ、二人羽折よろしく、背後から手を重ねた。
「いいですか?このくらいの強さで・・・・。」
ムウは沙織の手の卵を、ボールの角に打ちつけた。
ひびの入った卵が、パッカリと割れる。
「さぁ、どうぞ。」
ムウから手渡された卵を、沙織は眼を見開いて恐る恐るぶつけた。
「まぁ!割れたわぁ!!」
今度はムウが拍手した。

「さぁ、後は簡単ですよ。そこの鍋に卵黄だけ入れて、ちょっとだけ牛乳を加えて混ぜて下さいね。・・・あ。泡立て器を使ってすくうと、簡単に黄身だけ取れますよ。卵白は、とっておいて下さい。後からメレンゲ作りますからね。」
沙織は卵黄を牛乳で溶き、その後も、ムウに指示されたとおりに、砂糖、薄力粉の順に加えて混ぜた。
「残りの牛乳と、これも混ぜて下さい。」
沙織が混ぜている間に搾ったオレンジを、ムウが差し出した。
「混ざったわ。」
「じゃあ、火にかけて、そうですね・・・少しとろみが付いたら火を止めて、荒熱を取りますからね。」
ムウは、沙織にあれこれと指示を出しながら、自分でも片手間に同じ物を、要領よく作っている。
「冷ましている間に、メレンゲを作りましょう。卵白と砂糖を、フワフワになるまで混ぜ合わせて下さい。」
沙織は真剣な表情で混ぜはじめた。
「メレンゲが出来上がったら、鍋の中に入れて、さっくり合わせて下さいね。」
「こんな感じでいいかしら?」
「えぇ・・・お疲れ様。」
型にバターをぬってグラニュー糖をまぶすと、ムウは沙織から鍋を受け取り、中身を流し込む。
それに飾り用のオレンジを乗せて、オーブンに入ると、はたして3分後、部屋は焼けたオレンジの香ばしい匂いで、いっぱいになった。

エプロンを解いた沙織は、ムウの淹れた紅茶を飲み、出来上がったばかりのオレンジココットを、ほおばった。
自分のとムウの作ったのを、交互に口に入れて、
「悔しいけれど、やっぱりムウの作った方が、断然美味しいわ。」
と、本当に悔しそうに、ムウを見つめる。
「最初からこれなら充分ですよ。後は慣れですし、要は心でしょう。」
にっこり微笑むムウに、沙織が満面の笑顔を返した。
「がんばるわ!」
頷いたムウは、沙織の手の平を上にして、そっと自分の手の上にのせた。
「え?」
「この手に愛を。」
そう呪文のように唱えると、沙織の手の中に小さな包みが現れた。
「沙織さん、貴女もお誕生日でしょう。」
「あの、私・・・に?」
ムウは頷いた。
「嬉しいわ、ムウ!開けてもいいかしら?」
「お気に召すといいんですが。」
「要は心でしょう?それなら、絶対気に入るわ。」
包装紙を破かないように、注意しながら、沙織はおどけたように、そう言った。

「・・・ムウ、これ。」
箱を開けて、沙織はそれに目を奪われた。
それは小さな、3cm程度の、金色の羊の置き物だった。
ご丁寧に、聖衣と同じ素材で出来ている。
「どうもありがとう、ムウ!とっても嬉しいわ。これ、枕もとに置いて寝ちゃうわ!名前は勿論、“ムウ”よvvv」
「名前・・・ですか?」
「そう!私の黄金の羊さんvv」
沙織は小さな羊のムウにキスをした。
「なんだか、私がキスされているみたいで、くすぐったいですね。」
そう言うムウの髪を、急に沙織がえいっと引張った。
「ありがとう。」
引かれた髪に注意がいった隙に、小さな声がすぐ近くで聞こえ、柔らかい感触がムウの唇を捕らえた。
「くすぐったかった?」
顔を赤らめて笑いながら、沙織はムウを見た。
「いいえ、でもオレンジの香りがしました。」
ムウが微笑む。
「オレンジキスねvv」
沙織も微笑んだ。

それから、ひとしきり歓談した二人は、
「そろそろ行くわね。ムウ、今日は本当にどうもありがとう。楽しかったわ。」
という沙織の一言で、別れの時を迎えた。
白羊宮を出て、ムウに手を振り、帰りの飛行機に乗ると、沙織は大きな溜息をついた。
その手には、ムウからのプレゼントが、ちょこんとのっている。
“まぁ、これはこれで、確かにすっごく可愛いんだけど・・・ムウったら。”
どうやらムウからの、プレゼントは少々ご不満だったようだ。
“それに私のキスに、顔色ひとつも変えないなんて失礼よねっ!いつまでも子供だと思ってらっしゃい!すぐに、ムウの目も眩むような、イイ女になっちゃうんだからっ!勝負はこれからよっ!”
そしてこちらは白羊宮で、残ったケーキを一人つつきながら、ムウが呟いていた。
「・・・いつまで誤魔化せますかねぇ。最近の女性は成長が早いですから。来年あたりは指輪でも用意してみましょうか。いえ、卵にあれだけ苦戦するようでは、まだまだですかね?」

ともあれ、来年もムウからプレゼントが貰えるのは、確実のようである。
二人の攻防(?)は続くようであるが、誕生日以外にも年中行事は、たくさんある。
さて・・・どうなるコトやら・・・・。



=END=

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□都合のイイ、作者のいい訳;□

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