「瞬のお誕生会を開くの♪」 フリルのついたエプロンをして、ボールと泡立て器を手にしたお嬢様は、白羊宮に来ていた。 「ムウはケーキも作れるわよねvv」 「えぇ、作れますが・・・失礼ですが沙織さん、卵を割った事はありますか?」 「いいえ!初めてなのっvv楽しみだわぁ〜vvv」 無くて当然っ!と言う様に、力いっぱい否定する沙織に、ムウは内心、既に倒れかけていた。 「・・・簡単なのにしましょう。オレンジココットなんか如何です?小一時間もあれば、作れますよ。」 そう言いながら、ムウは“普通はね・・・。”と心の中で付け加えた。 が、案の定・・・。 「ムウ!これ、上手く割れないわぁ!」 潰れた卵にまみれた自分の手を、沙織は気持ち悪そうに見た。 目の前には卵の殻が、いくつも散乱している。 「卵を打ち付ける時に、目を閉じてはダメですよ。」 「だって、見ていると、なんだか痛そうなんですもの〜。」 沙織の答えに、微かな目眩を覚えつつ、ムウは何度目かの手本を見せた。 コンコンッ!と小気味良い音を立てた卵が、次の瞬間には綺麗に二つに分かれる。 「上手ねぇ〜vv」 パチパチと無邪気に手を叩く沙織に卵を持たせ、二人羽折よろしく、背後から手を重ねた。 「いいですか?このくらいの強さで・・・・。」 ムウは沙織の手の卵を、ボールの角に打ちつけた。 ひびの入った卵が、パッカリと割れる。 「さぁ、どうぞ。」 ムウから手渡された卵を、沙織は眼を見開いて恐る恐るぶつけた。 「まぁ!割れたわぁ!!」 今度はムウが拍手した。 「さぁ、後は簡単ですよ。そこの鍋に卵黄だけ入れて、ちょっとだけ牛乳を加えて混ぜて下さいね。・・・あ。泡立て器を使ってすくうと、簡単に黄身だけ取れますよ。卵白は、とっておいて下さい。後からメレンゲ作りますからね。」 沙織は卵黄を牛乳で溶き、その後も、ムウに指示されたとおりに、砂糖、薄力粉の順に加えて混ぜた。 「残りの牛乳と、これも混ぜて下さい。」 沙織が混ぜている間に搾ったオレンジを、ムウが差し出した。 「混ざったわ。」 「じゃあ、火にかけて、そうですね・・・少しとろみが付いたら火を止めて、荒熱を取りますからね。」 ムウは、沙織にあれこれと指示を出しながら、自分でも片手間に同じ物を、要領よく作っている。 「冷ましている間に、メレンゲを作りましょう。卵白と砂糖を、フワフワになるまで混ぜ合わせて下さい。」 沙織は真剣な表情で混ぜはじめた。 「メレンゲが出来上がったら、鍋の中に入れて、さっくり合わせて下さいね。」 「こんな感じでいいかしら?」 「えぇ・・・お疲れ様。」 型にバターをぬってグラニュー糖をまぶすと、ムウは沙織から鍋を受け取り、中身を流し込む。 それに飾り用のオレンジを乗せて、オーブンに入ると、はたして3分後、部屋は焼けたオレンジの香ばしい匂いで、いっぱいになった。 エプロンを解いた沙織は、ムウの淹れた紅茶を飲み、出来上がったばかりのオレンジココットを、ほおばった。 自分のとムウの作ったのを、交互に口に入れて、 「悔しいけれど、やっぱりムウの作った方が、断然美味しいわ。」 と、本当に悔しそうに、ムウを見つめる。 「最初からこれなら充分ですよ。後は慣れですし、要は心でしょう。」 にっこり微笑むムウに、沙織が満面の笑顔を返した。 「がんばるわ!」 頷いたムウは、沙織の手の平を上にして、そっと自分の手の上にのせた。 「え?」 「この手に愛を。」 そう呪文のように唱えると、沙織の手の中に小さな包みが現れた。 「沙織さん、貴女もお誕生日でしょう。」 「あの、私・・・に?」 ムウは頷いた。 「嬉しいわ、ムウ!開けてもいいかしら?」 「お気に召すといいんですが。」 「要は心でしょう?それなら、絶対気に入るわ。」 包装紙を破かないように、注意しながら、沙織はおどけたように、そう言った。 「・・・ムウ、これ。」 箱を開けて、沙織はそれに目を奪われた。 それは小さな、3cm程度の、金色の羊の置き物だった。 ご丁寧に、聖衣と同じ素材で出来ている。 「どうもありがとう、ムウ!とっても嬉しいわ。これ、枕もとに置いて寝ちゃうわ!名前は勿論、“ムウ”よvvv」 「名前・・・ですか?」 「そう!私の黄金の羊さんvv」 沙織は小さな羊のムウにキスをした。 「なんだか、私がキスされているみたいで、くすぐったいですね。」 そう言うムウの髪を、急に沙織がえいっと引張った。 「ありがとう。」 引かれた髪に注意がいった隙に、小さな声がすぐ近くで聞こえ、柔らかい感触がムウの唇を捕らえた。 「くすぐったかった?」 顔を赤らめて笑いながら、沙織はムウを見た。 「いいえ、でもオレンジの香りがしました。」 ムウが微笑む。 「オレンジキスねvv」 沙織も微笑んだ。 それから、ひとしきり歓談した二人は、 「そろそろ行くわね。ムウ、今日は本当にどうもありがとう。楽しかったわ。」 という沙織の一言で、別れの時を迎えた。 白羊宮を出て、ムウに手を振り、帰りの飛行機に乗ると、沙織は大きな溜息をついた。 その手には、ムウからのプレゼントが、ちょこんとのっている。 “まぁ、これはこれで、確かにすっごく可愛いんだけど・・・ムウったら。” どうやらムウからの、プレゼントは少々ご不満だったようだ。 “それに私のキスに、顔色ひとつも変えないなんて失礼よねっ!いつまでも子供だと思ってらっしゃい!すぐに、ムウの目も眩むような、イイ女になっちゃうんだからっ!勝負はこれからよっ!” そしてこちらは白羊宮で、残ったケーキを一人つつきながら、ムウが呟いていた。 「・・・いつまで誤魔化せますかねぇ。最近の女性は成長が早いですから。来年あたりは指輪でも用意してみましょうか。いえ、卵にあれだけ苦戦するようでは、まだまだですかね?」 ともあれ、来年もムウからプレゼントが貰えるのは、確実のようである。 二人の攻防(?)は続くようであるが、誕生日以外にも年中行事は、たくさんある。 さて・・・どうなるコトやら・・・・。
乙女座の皆様、お誕生日おめでとうございますvvv そして、何気にムウ×さお書いてますね?!;;私;;; ってか、詰め込みすぎなんだっちゅーのっ!! 何が書きたいねーんっ!←いつもだが。(汗) っちゅーコトで、ごめんなさいですぅ〜;(>_<;) 沙織ちゃん13歳なんだなぁ、・・・いいなvv(^^;) って思ったら、何だか“恋する乙女”っぽいモノを書いてました。 ムウ様も彼女を、13歳の女の子として扱っていると思われ。
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