+ + + パンドラ誕 + + +

+ + 箱 + +

小さい頃から神様は居たけれど、毎日愛を届けたりは、してくれなかった。
私の神様は、開けてはならないハコに、封印された神々だったから。

「お母様、開けてもいい?」
大きな箱を手に、瞳を輝かせる子供に、
「あらあら、せっかちさんねぇ。もうすぐお姉さんになるのでしょう?」
困った様に言いながらも、愛しい子供に注がれる、母親の眼差しは、どこまでも優しい。
二人のやりとりを聞いていた父親が、子供に笑顔を向けた。
「プレゼントだもの。構わないさ。開けてごらん。」
父親の言葉に嬉々として、子供は包みを開け、中から出てきた、微細に装飾された美しい宝石箱に、頬をばら色に染めて言った。
「ありがとう!!お父様!お母様!」

ほどなくして。子供は別なハコを見つける。
誕生日に貰った宝石箱とは違い、古くて薄汚れ、埃を被ったハコ。
端がヒラヒラした紙が一枚、その小さな手による破綻を待っていた。
待っていた。二百年もの時を。

神々は―――
人の命など、何ほどにも思わない。
勝手に託宣し、そして、その通りになった。
気付いた時には、私の周りには誰もおらず、ただこの腕の中には、真暗な宇宙が重く息づいていた。

ハッと目を開けると、そこは居城の揺り椅子の中だった。
「・・・夢。」
瞳を伏せて呟いたのと、ドアがノックされたのが、同時だった。
茫洋たる数瞬後、遠慮がちに、もう一度、扉が叩かれた。
「何用か。」
言ってから、時計に目を遣る。随分と遅い時間だった。
ギィと軋んだ音を立て、ドアが開く。
入って来た男は、即座に自分の足元に跪いた。
男は、黒々とした冥衣を纏っていた。

「ラダマンティス。このような時刻に、何事です。」
「申訳ございません。」
男はすぐに非礼を詫びた。
そして、お受け取り下さいと言って、小さな箱をパンドラに捧げる。
「・・・なにか。」
「お祝いの品でございます。パンドラ様。」
それでもパンドラは、怪訝そうな表情だ。
「パンドラ様、お誕生日、おめでとうございます。」
僅かに男の目元が和らぐ。
パンドラは、座したまま、無言で箱を手にした。

誕生日。では、既に9月になっているのか。
パンドラには、そんな感覚しか無かった。
第一、どうして。
どうしてこの男は、自分の誕生日を知っているのだろう。
自身ですら忘れていたのに。
毎年、生まれを祝われていた、あの光ある日々を。
今ここで、この暗い居城で、何の祝いもあろうことか。

だが、パンドラは、その問いを口にしなかった。
かわりに、箱を側らのテーブルに置くと、男に向き直って言った。
「お前はいつも冥衣を着ている。」
「はい。それが、何か?」
すいと、少女が立ち上がる。
「お前は人間であろう?」
「・・・はい。パンドラ様。」
目の前に立つ少女の、質問の意図が分からない。
不意に、黒衣の先から伸びた白い手が、ラダマンティスの肌に触れた。
ラダマンティスは、己の無骨な顔にあてられた手を、とろうか否か逡巡した。
「なるほど。お前の肌は、暖かい。」
そう言ったパンドラの指先は、ひんやりと冷たかった。
「お前が、人間でよかった。」
「パンドラ様。」
「ありがたく受けとろう。ラダマンティス。」
そう言って、テーブルの上の箱を再度手にし、漆黒の少女は微笑んだ。



=END=

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□都合のイイ、作者のいい訳;□





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