+ + こいこいっ!! + +
ムウ様・この世の華(桜に幕)
貴鬼・掃き溜めに鶴(松に鶴)
シオン・煌々たる望月(薄に月)

貴鬼がシオンの部屋に行くと、そこには既にムウもいた。
二人で毛足の長い絨毯の上に、座り込んでいる。
シオンに手招かれて、同じようにペタンと腰を下ろしてみると、
絨毯の上には、茶色の縁の小さなカードが沢山あった。
「ムウ様ぁ?何ですか?このお花のカード?あれ?これは、野原?
こっちは、カエルがいる♪」
「これは、花札っていうんですよ。これでゲームをするんです。」
貴鬼を見て、穏やかに笑うムウと反対に、シオンはこちらを見もせず、
ひらりと貴鬼の目の前に、紙を差し出した。
「小僧、いいから、これを読め。1分で理解しろ。」
シオンから手渡された紙は、古くてあちこちが擦り切れていた。
表裏いっぱいに、小さい文字で書かれているのは、日本語である。
日本語は、会話には不自由しないが、読み書きは、
まだ、いまひとつ自信が無い。
それでも貴鬼は、シオンに言われるままに、目を通した。
それは、ゲームの仕方が書いてある、解説紙だった。
カードを揃えて、早くいい“役”を作れば勝ちらしい。
“役”が出来た後、更に続けるかどうか、声をかける。
「ふぅん。このカード、12ヶ月分あるんだぁ!!白羊宮はどれですか?
シオン様っ♪」
「バカモノ。白羊宮などあるか!3月なら“桜に幕”、
4月なら“藤にホトトギス”だ!」
そう言われても、貴鬼は、へこむ様子もない。
シオンの“バカモノ”は、実は口癖のようなものなのだと、
最近気付いたからだ。
その証拠に、ムウも、二人の会話に全く頓着していない。
「貴鬼のイメージは、さしずめ、この札でしょうか?」
おっとりとムウの指差したカードには、“松に鶴”が描かれていた。
それを見たシオンが、突っ込む。
「まさか、掃き溜めに・・・とか言うのか?」
シオンに答える代わりに、ムウは笑顔を作った。
大人をよそに、貴鬼は絵札を、あれこれと眺めていたが、
「えぇーっと、じゃあねぇ!ムウ様は、このカード!
シオン様は、こっちっ!!」
と言って、二枚のカードを、それぞれに見せた。
ムウは“桜に幕”、シオンは“ススキに月”の札だった。
「どうしてです?」
問うムウに、貴鬼が嬉しそうに答える。
「ムウ様、このお花みたいにキレイだもんっ!vvv
それにシオン様は、満月みたいに完璧だからっ♪」
その言葉に、珍しくシオンが、貴鬼の頭にポンと手を置いた。
「小僧!遊び方は覚えたか?1ゲームは12回戦だ。さて、何を賭ける?」
シオンの問いに、貴鬼が勢いよく答える。
「ムウ様!ムウ様っ!!vvv」
シオンは高い位置から子供を見下ろしつつ、まるで自分も子供のように、
戦闘意欲むき出しで呟く。
「・・・ふ。いい度胸だ。小僧。」
これにはムウも、口出しせずには、いられない。
「私を賞品にしないで下さいっ!!;」
「自分の身は自分で守れ。」
あたりまえの様に、ムウの前にも札を配るシオンの一言に、
ムウは、にっこり微笑んだ。
「そうですか・・・では、手加減しませんからね。」
三人の背に、ゆらりと小宇宙が立ち上った・・・・。
やがて誰かの口から、出来役の声が響く。
「こいこいっ!!」


=END=


□都合のイイ、作者のいい訳;□



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